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図書委員(女子)の話・アナザー
2014 / 05 / 08 ( Thu )
○月×日委員会業務終了後
今日こそ十六夜に告白しよう。そう思って委員会に参加したが、十六夜は委員会の間中上の空だった。雷蔵と何かあったのかと訊ねたところ、不思議そうにされたものの、明白な回答は得られなかった。何れにせよ、十六夜が調子を崩すのは概ね雷蔵か鉢屋の絡みと見て間違いない。日が悪いため告白はまた折を見て試みよう。

同日帰宅後
後輩達の勧めで十六夜を送って帰ることになった。十六夜は少し顔が赤い。上の空の原因は発熱によるものかもしれない。不謹慎だが雷蔵絡みではないことに安心してしまった。小平太に取っ捕まったのは私への罰だろう。
3組の二人はそれとなく察して見ぬふりをしてくれたようだが、小平太は一直線に訪れ、勝手に色々言いふらしてくれた。止めに来た平は相変わらずの苦労性だ。しかし、平の学年でも十六夜は雷蔵と、等という噂が罷り通っている事を知る。由々しき事態だ。
二人が去ってから腹を括り、その場で十六夜に想いを伝えようとした。
──十六夜は唐突に約束を思い出した、と慌て出したので実現しなかった。
私の話より、雷蔵との約束が大事かと少しだけ腐った。いや、誰の約束であれ、先約を優先する心根は間違ってはいない。私の被害妄想だろう。

○月□日
おかしい。
今日で5日十六夜を見掛けていない。十六夜が当番であるのに他の者が現れたので訊ねたところ、課題の期限により当番の日付を交換したのだという。先日は家の都合だった。日誌を読む限り他の当番にはきちんと参加しているようだから、サボりではないらしい。しかしこうも重なると、避けられている気がしてならない。
明日は私の当番ではないが、図書室に様子を見に行こう。

○月△日
廊下を歩いている十六夜を見つけた。声をかけようとしたが、急に走り出したので機会を逸した。十六夜はしばしばそそっかしい。私に気付いて逃げたのだとは、考え過ぎだろう。
放課後、図書室に向かう途中雷蔵と連れだって歩く十六夜を見掛けた。心なしか以前より睦まじく並ぶ距離も近い。 これではまるで──いや、あの二人の仲の良さは今更の事だ。今更の事だ。

○月○日
相変わらず十六夜に会わない。当番で一緒になった雷蔵に何か知らないかと訊ねたが、
「比菜子ですか?」
と惚けられて追及する気持ちが萎えた。比菜子、と呼び捨てにするのは鉢屋だった筈だ。何故今になって雷蔵まで呼び方を変えたのか。追及するには、その答えを覚悟せねばならない。

○月◇日
最悪だ。
当番ではないが十六夜が来ている、ときり丸が教えてくれた。
私は準備室での仕事があったため、図書室に出られたのは閉館間際になった。久しぶりに顔を合わせた十六夜は以前より綺麗になっているように見えた。急がなければ、雷蔵を警戒している間に他の男にさらわれると気が急いた。
常ならば図書室で私語など認められないが、図書委員のみのその時間、気付いたときには書架の陰で、十六夜に暫しの時間を請うていた。十六夜は是とも否とも語らず、惑っているようだった。だが──そこで雷蔵が現れた。
「比菜子」と呼ばれた十六夜は、迷いなく雷蔵へと駆け寄った。十六夜の肩を抱く雷蔵は、勝者の憐れみで私を見返してきた。私は、想いを口にする暇さえ与えられないのか!!
雷蔵に奪われたことよりも、十六夜の本心をその言葉で知らされることがなかったことが私の胸に重くのし掛かった。

○月▼日
さーやが放課後になって教室に来た。姓が異なることを気にするさーやが、校内で声をかけてくる事は滅多にない。何事かと思ったが、真剣な顔をしていたので邪魔が入らぬよう裏庭に出て話を聞いた。
さーやは、鉢屋達のグループがこそこそ企んでいることを伝えてくれた。十六夜と会うことができなくなったのは、鉢屋の策略だった。そしてその策略の根底には、さーやが発した言葉への誤解があるのだという。
しかし鉢屋は知っている筈だ。さーやが私の兄妹であるということを。
私は十六夜の本心を訊きたいと願った。鉢屋や雷蔵が阻んでいるのだとしたら、十六夜自身に私を避ける意があるのか──
これまでの願いが弱かっただけなのか、計ったように十六夜は現れた。曲がり角の出会い頭、千載一遇の機会を逃しては私は度しがたい愚か者だ。
急いでいるのは瞭然だったが、腕をついて進路を遮った。はじめからこうしておけば良かったのだ。両腕と壁に退路を塞がれた十六夜は、観念したように大人しくなった。私は訊ねた。
十六夜自身が私を避けていたのかどうかを。
そして答えを聞いたとき、私は己のふがいなさに、どうしようもなく笑いが込み上げてくるのをこらえられなかった。
十六夜が私を避けていた!!
十六夜には私の言葉を聞く気など無かったのだ……

○月▼日後半
さーやには叱られてしまった。私の振る舞いは十六夜を威嚇するものだったらしい。仕方なく壁から腕を離した。しかし雷蔵が現れるとさーや自身が十六夜を留めた。そうか、私もこうして十六夜を困らせていたのだな。
驚いた事に、さーやと十六夜を見ていた雷蔵は、十六夜ではなくさーやを連れて私の前から離れていった。釘を指す言葉と視線からは、私を容認したわけではないことが知れた。
つまり、十六夜が私と話すことを望んでくれたということだろうか。
私は十六夜を見下ろした。
いつかのように微かに頬を赤くした十六夜は、やはり美しかった。普段の天真爛漫で無邪気な様も、ふとした瞬間に覗く艶めいた表情も、私の心を深く掴んで放してはくれない。
口下手な私は、ただ訥々とありのままに胸の裡を十六夜に告げた。十六夜は──
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