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そこに至るまでの七夜2
2014 / 05 / 11 ( Sun )
 二つ目に飛ばされた先は、海と共に生きる町だった。十歳そこそこの子供になっていた私は、その町で士官学校に入学し、そのままガイエンの誇る海上騎士団の一員となった。
 幾つか下の後輩に、領主の子息だとか小間使い扱いのあの子とかがいた。いわゆる4様は拾われ子同士でもあり、それなりに私になついてくれた。名前がそのまんま「カトル(quatre)=4」だったことには初対面時絶句してしまったけど。

 ペルソナ使いとしての経験と、対アクマの戦闘経験は、士官学校の成績や海上騎士としての活動にも有用だった。
学費に関わる負債は、在学中のアルバイト、モンスター退治や卒業後数年の働きで完済できた程だった。それがカトル達の卒業と被ったのは偶然だったけれど、私は完済と同時に騎士団を辞した。
 本格的な戦乱になる前に、群島の島々を訪ねておきたかった。

 某商会とは違う商船の護衛としてミドルポートからオベルを目指し、ネイ島に向かう所で王様にはとても見えないおっさんに捕まる。いや、とても見えなくともそれが王様なんだけどさ。
 そこで何が気に入られたんだか、岩壁の隠れ家サロンとの連絡係を任命されたり、弓兵であるお転婆姫の護衛として彼女の哨戒任務に同行させられたり。まあ後者は多分、歳の近い戦う同性が余りいなかったせいだとは思うんだ。
 オベルに馴染んでる私を見たときの、みんなの唖然とした顔は面白かったなぁ。

 そこから先は結局ゲーム沿いに話は進んだ。カトルはサロンに集められた仲間達のリーダーになる事を固辞しようとしたけど、そこは先輩特権で強引に押しきった。だって私の役目は半分姫様の茶飲み友達。本拠地──本拠船が出航するときも、私も半ばオベルへ留まることになる気がしてた。
 そうならなかったのは、姫がそう望んだから。だから船出から先は、大体カトルと一緒に行動した。
 エレノアさんとこ行ったときは、大丈夫だって解ってても薬入りの食物を摂取する気にはなれなくて、振りで誤魔化したけど(軍師様には猿芝居と言われた。ヒドイ)。
 あの霧の変な船にも、勿論乗り込んだよ。
 私としてはアルドがお勧めだったんだけど、リノ王とカトル、二人がかりで指名してきたんじゃ流石に断れない。余計なことペラペラ喋る船長をみんなで吹っ飛ばして、ちょっとばかりトゲトゲしてるテッドおじいちゃん(笑)を確保した。

 霧の彼方に消えていただいた船長と、そのあと仲間になったジーンさん、それからレックナート様は私が純粋なその世界の存在ではないことに気付いてるようだった。船長はぶっ飛ばしたし、ジーンさんは言いふらすよな人じゃないし、レックナート様は……レックナート様だから仕方ない。
 本来はカトルが寝てるところに現れるはずのレックナート様が、カトルとお饅頭の試食会してる最中に現れたとしても。言いたいことだけ言って消えてきそうなレックナート様の口にお饅頭を突っ込んだのは、別に腹いせじゃありませんからね? ふふ。

 あと、何かあったかな……あぁそうそう。ペルソナを誤魔化すために流水の紋章と瞬きの紋章を宿したんだっけ。魔術師系統の疑り深い奴とか、天間星とか天間星とかが気にしてたから。
 そうしたら紋章砲の砲手としてもう一属性くらいつけろと言われて、なし崩しに旋風の紋章まで割り当てられてしまった。烈火とか雷鳴は……うん、持ち腐れになるからね。そして大地は、単に在庫がなかったんだ。

 装備で優遇されたし、昔馴染みの気安さから海戦でも通常戦闘でもかなり酷使された。
 お陰で成長速度遅めってどういうことだっけ? と言いたくなるくらいにはグイグイレベルが上がっていった。勿論、同じくらい酷使されまくってたタルやハーヴェイ、何よりカトル自身はラズリル奪還時点でとっくにレベル完ストしてたんだけどさ。
 私のレベルは大体出動回数が3分の2くらいのジュエルやシグルトと同じくらい。あのまま騎士団に所属してたら、私の成長の遅さはもっと際立ってただろう。

 そしてラスダン──私でさえレベル完スト目前でのエルイール潜入は、軍師様の護衛という重責まで預かってしまった。
 それがいけなかったと言えばいいのか、どっち道どうしようもなかったと言うべきか、この世界の私の記憶は、エルイール要塞の中で途切れている。
 肝心の時に魔力切れで、崩落する要塞から脱出しはぐってしまったから。

 瓦 礫 に 押 し 潰 さ れ る ──!!
続きを読む 危ういところで、気が付けばまた、マヨナカTVのロビーに帰っていた。

『おやおや、エンディング目前にゲームオーバーですか』

「……煩いよ」
 私は息を吐き出した。

 あの要塞だけでも相当数の兵が命を落とした。私は、こうして難を逃れている。今更と思わないでもない罪悪感。

『それでは、もう少しばかりほのぼのとした世界を提供致しましょう』

 文字は告げた。
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