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「説明になってない!!」
 無駄だとわかりながら叫ばずにいられなかった。

 私自身のフラグ? ゲームの大団円じゃまだ足りない?

 途方に暮れる私は、これまでで一番小さな子供の姿に遡っていた。


 四つ目の世界は、和風だった。

 シャオメイのくじで当てた太黄鳥(……)の鞄のおかげで殆どの持ち物を持ち越せた私は、盗み見した人達の恰好に合わせて、着物に着替えてから人里へ降りた。
 ぶかぶかなのは仕方ない。

 そこで物陰に隠れている同じくらいの大きさの幼児を慰めたことで、この世界での私の身の置き所は確定した。

 幼児の名前は梵天丸──金髪じゃないから戦国無双ではないな、ということだけわかった。
 梵天丸の片目の有様を見ても物怖じしなかったことが気に入られて、私は梵天丸の付き人兼遊び相手として伊達家に引き取られることになった。とんとん拍子に話が進んだ後で、性別を誤解されていたことが分かった。
 教育係は乳母の喜多さんとその弟である景綱さん──小十郎さんだ。
 私の他に、時宗丸という同じ年頃の男の子が梵天丸の学友として講義を受けたり身体を鍛えたりしていた。

 最初喜多さんは女と分かった以上もっと侍女的なスキルを私に身につけさせようとしたみたいだけど、武器の扱いに関しては●日の長がある私が課題をこなしてくのを見て梵天丸や時宗丸が奮起するものだから、私個人の育て方よりも次期当主の成長を重視して、八割がた二人と同じ教育を受けさせてくれた。
 残りの二割は着付けだったり、女としての必要最低限の教育に充てられた。

 三人で縺れ合うように転げまわって成長して、ある時はっきり理解した。
 この世界は戦国BASARAだ。

 元服して政宗になった彼はBASARA者としての才能を開花させ、奥州筆頭の座に上り詰めた。
 成実──元服した時宗丸は生憎とBASARA者ではなかったけれど、一般武将としては優れた才能を現して政宗をよく補佐していた。ゲームでは小十郎さんばかりがクローズアップされていたけど、成実も伊達軍にとってなくてはならない重鎮だった。
 私は、と言うと、勿論BASARA者になった。魔法剣士特性なんだから当然。属性はペルソナ通りの氷。ただ、ペルソナや紋章や召喚獣に頼らない純粋なBASARA者としての能力は成長が遅くて、危惧した政宗や小十郎さん、成実達から単独行動は口が酸っぱくなるくらいに禁止されていた。
 形振り構わず戦えば強いんだけどね、特に召喚獣とか目をつけられると要らない火種になるので、戦の時は言われた通り三人の誰かと並びあって刀を振るった。

 刀は双刀で、政宗が奥州筆頭の呼び名を得た時に、「これからもついて来い」と言って贈ってくれたもの。
 扱いは家臣なんだから、下賜されたってことになるのかな。名前は天花六花──勿論、武器自体にも氷属性がついている。その後の世界でも特に支障ない限りはこれを装備していることが多いかな。政宗が直々に選んでくれただけあって、とても使い易い刀だった。

 政宗の六爪流と私の二刀流はある意味対として近隣の武将に恐れられるようになった。
 勿論、小十郎さんは竜の右目として抜群の存在感。単に男女ペアで、二人揃って両手に刀という戦闘スタイルが目立ってしまっただけの事だった。

 小田原遠征を勝利で飾り凱旋したその夜──政宗は言った。

「焦らすのも程々にしてやんな。jealousyで枕を濡らすところなんざ気色悪くて見てらんねぇぜ」
「気色悪って! どういう意味だよ、梵」
「言われなきゃわかんねェってか? おいおいjokeは止してくれよ」
 両手をあげてニヤニヤ笑う顔は憎らしかったけれど、言われた意味は分かっていた。

 景気づけに手元の杯を飲み干して、仏頂面で立ち上がったところまでははっきり覚えてる。

「怖気づいたか? no problem,万一の時は胸くらい貸してやるさ」
 そのまま動きを止めた私に、政宗が軽口を寄越したことも。

 だけど。

「Hey! ユキヤ! What's happened?! しっかりしろ!」

 私の視界はそこで暗転。

 遠ざかる意識が認識できたのは、取り乱した政宗の叫び声と、あ、毒を盛られたんだ、なんていう他人事めいた感想だけだった。

拍手[0回]


 目が覚めた時には、TVの前で倒れ込んでいた。
 酒宴の最中からの転送だけど、鞄や装備はついてきていた。

『権力への執着は恐ろしいものですね』

「……まぁ、梵が暗殺されずに済んだのは良かったよ」

『あの毒のターゲットは、はじめから阪上様とお見受けしましたが』
「は?」

『どうやら阪上様の態度を誤解した人物が事を企てたようですね』
態度を……誤解?」
『ともあれ次の世界では、意志表示は早めにはっきりとされる事をお勧めします』


 毒殺の理由が政宗との関係を誤解されたせいだと理解したのは、次の世界に抜けてからの事だった。
 そのせいで成実に想いを伝えられなかった事が、胸の奥をじわじわと締め付けて私は一人で泣いてしまった。
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