管理サイトの更新履歴と思いつきネタや覚書の倉庫。一応サイト分けているのに更新履歴はひとまとめというざっくり感。
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「ちょっとそこのお姉さま♪」
ユキヤが声をかけられたのは、一人で商店街を歩いているときだった。
「おもしろ~い相をしてるわね。まるでこの世界の外側を知ってます、みたいな珍しい気配」
浮き浮きとした声の主は、一目でシルターン系の召喚獣とわかる容姿の少女。ユキヤが足を止めると、ばっと背後に構える物を腕で示した。
「ここで袖振りあったのも何かの縁! シャオメイちゃんの所で1つ運試しでもしてみな~い?」
赤を基調とした派手派手しい建物。そんなものが路地裏に突然どでん、と存在するのだから、呆れてしまう。つい先日通りかかったときには、こんな目立つ建物は存在しなかった。
「お嬢ちゃんこそ、龍殺しとか何本も飲み干すうわばみの相が透けて見えるよ」
「ぎ、ぎくっ! シャオメイちゃんお子様だからわかんな~い! そ・れ・よ・り、当たるも八卦当たらぬも八卦、今なら特別お試し特価! で籤を引かせてあげちゃいますぅ」
「特価……なんだ?」
「そ! 大特価!」
シャオメイはふふん、と胸を反らした。
「いつもならお題はおいし~い飴玉ひとつ! お願いするところなんだけどぉ、今回は特別、金平糖一粒で引かせてあげちゃう!」
「こ、金平糖……?」
ユキヤが歪な笑顔になったのは、指定されたものが理解できなかったからではない。
留守番しているコーラル達へのお土産にと、先ほど入手したばかりの物だったからだ。
──なんでわかってるんだ、このヒト……ていうかメイメイさん。
「えー、その……一粒、で、いいんだよね?」
「おーるおっけー、じゃ、こっちへどうぞ~」
一人分ずつ小袋で買ったのであれば応じることはできなかった。が、量り売りでまとめ買いしたので一粒くらいなら問題はない。恐ろしいのは、それさえ見越したようなシャオメイの要求だった。
ピンク色の金平糖を嬉しそうに口に運んで、シャオメイは見覚えのあるスクラッチ籤を一枚ユキヤに手渡した。
ゲームの画面ではともかく、改めてリィンバウムでスクラッチ加工を目にすると異質である。ユキヤは深く考えないように思考に蓋をして、銅貨で適当に丸い銀色を擦った。
結果は──
「……大当たりい~♪」
カランカラン。
他に誰もいないのにわざわざ鐘を鳴らしてシャオメイはユキヤを祝福した。
「え~と、今日の特賞は……黄太鳥の鞄ね♪」
「き、黄太鳥……!?」
聞いたこともない生き物の名前。ユキヤは自分の知る限りのメイトルパの召喚獣を思い出し、次に、勢い余って思い浮かんだ胡麻通りの大きな黄色い鳥のイメージを頭を振って追い払う。いくらなんでもない、それはない。
するとシャオメイは、得意げになって説明した。
「かつて名もなき世界に存在したっていう伝説の黄太鳥をヒントに作られた万能鞄よん♪
黄太鳥っていうのはぁ、黄色くて太った鳥の事で、ギサ……ギザギザの野菜? とかそんな感じの名前のお野菜が好物なの! ふつうの消化する胃袋の他に、物を溜め込んでおける不思議な器官を持ってて、持ちきれない荷物の預かりサービスとかに使われてたらしいわ。
一説によると、その不思議な器官は異次元に繋がっててて、他の黄太鳥との間で物の共有もできてたととか言われてるの!」
「それってまさか……デブチョコボ?」
「そうとも言うかもね。さっすがお姉さま素敵にも・の・し・りなんだからぁ♪」
「……(そうか、この人やっぱ何でもありか)」
けたけた笑うシャオメイに、ユキヤはがっくりと項垂れた。
ユキヤが声をかけられたのは、一人で商店街を歩いているときだった。
「おもしろ~い相をしてるわね。まるでこの世界の外側を知ってます、みたいな珍しい気配」
浮き浮きとした声の主は、一目でシルターン系の召喚獣とわかる容姿の少女。ユキヤが足を止めると、ばっと背後に構える物を腕で示した。
「ここで袖振りあったのも何かの縁! シャオメイちゃんの所で1つ運試しでもしてみな~い?」
赤を基調とした派手派手しい建物。そんなものが路地裏に突然どでん、と存在するのだから、呆れてしまう。つい先日通りかかったときには、こんな目立つ建物は存在しなかった。
「お嬢ちゃんこそ、龍殺しとか何本も飲み干すうわばみの相が透けて見えるよ」
「ぎ、ぎくっ! シャオメイちゃんお子様だからわかんな~い! そ・れ・よ・り、当たるも八卦当たらぬも八卦、今なら特別お試し特価! で籤を引かせてあげちゃいますぅ」
「特価……なんだ?」
「そ! 大特価!」
シャオメイはふふん、と胸を反らした。
「いつもならお題はおいし~い飴玉ひとつ! お願いするところなんだけどぉ、今回は特別、金平糖一粒で引かせてあげちゃう!」
「こ、金平糖……?」
ユキヤが歪な笑顔になったのは、指定されたものが理解できなかったからではない。
留守番しているコーラル達へのお土産にと、先ほど入手したばかりの物だったからだ。
──なんでわかってるんだ、このヒト……ていうかメイメイさん。
「えー、その……一粒、で、いいんだよね?」
「おーるおっけー、じゃ、こっちへどうぞ~」
一人分ずつ小袋で買ったのであれば応じることはできなかった。が、量り売りでまとめ買いしたので一粒くらいなら問題はない。恐ろしいのは、それさえ見越したようなシャオメイの要求だった。
ピンク色の金平糖を嬉しそうに口に運んで、シャオメイは見覚えのあるスクラッチ籤を一枚ユキヤに手渡した。
ゲームの画面ではともかく、改めてリィンバウムでスクラッチ加工を目にすると異質である。ユキヤは深く考えないように思考に蓋をして、銅貨で適当に丸い銀色を擦った。
結果は──
「……大当たりい~♪」
カランカラン。
他に誰もいないのにわざわざ鐘を鳴らしてシャオメイはユキヤを祝福した。
「え~と、今日の特賞は……黄太鳥の鞄ね♪」
「き、黄太鳥……!?」
聞いたこともない生き物の名前。ユキヤは自分の知る限りのメイトルパの召喚獣を思い出し、次に、勢い余って思い浮かんだ胡麻通りの大きな黄色い鳥のイメージを頭を振って追い払う。いくらなんでもない、それはない。
するとシャオメイは、得意げになって説明した。
「かつて名もなき世界に存在したっていう伝説の黄太鳥をヒントに作られた万能鞄よん♪
黄太鳥っていうのはぁ、黄色くて太った鳥の事で、ギサ……ギザギザの野菜? とかそんな感じの名前のお野菜が好物なの! ふつうの消化する胃袋の他に、物を溜め込んでおける不思議な器官を持ってて、持ちきれない荷物の預かりサービスとかに使われてたらしいわ。
一説によると、その不思議な器官は異次元に繋がっててて、他の黄太鳥との間で物の共有もできてたととか言われてるの!」
「それってまさか……デブチョコボ?」
「そうとも言うかもね。さっすがお姉さま素敵にも・の・し・りなんだからぁ♪」
「……(そうか、この人やっぱ何でもありか)」
けたけた笑うシャオメイに、ユキヤはがっくりと項垂れた。
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