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「雷蔵、御願い付き合って!!」

 部屋に飛び込んでくるなりそんなことを叫んだあたしに、雷蔵はキョトンとした顔をして、それからおっとり微笑んだ。

「どうしたの、いきなり? 買い物?僕でよければ荷物持ちに付き合うけど」
「そっちじゃなーい!」
 予想通りの誤解をしてくれた雷蔵。あたしはヤツの襟首を掴んでぐいっと自分の方に引き寄せる。

「雷蔵今フリーだよね!? だったらあたしと付き合っても問題ないよね!?」
「へ、え……ええっ!?」

「何ともムードのない告白だな。下らない冗談で雷蔵をからかうな」
 ガスっとあたしの頭を叩きやがった三郎は、読みかけの雑誌をあたしと雷蔵の間に差し入れる。それからその雑誌であたしの顔を押し返した。

「ぶべっ……! 何すんのよ、三郎!!」
「猛牛が雷蔵に襲いかかってるように見えたからな」
「何だとコノヤロ」
 三郎は我が物顔で寛いでるけど、ここは雷蔵の部屋だ。同じイトコ同士でも、幼馴染みでもあるあたしの方が過ごし慣れた場所なんだぞ。つか、何でいるんだ。

「んで」
 三郎は雑誌をベッドの上に放り出して促してきた。

「何のつもりなんだ? 突然」
「……! そ、そうだよ!! 比菜子ちゃん。理由を言ってくれなきゃ解らないよ」
 唖然として固まってた雷蔵も、動きを取り戻して身を乗り出す。あたしは俯いて唇を尖らせる。
「……雷蔵が好きだから、ては思ってくれないわけ?」
「へ?!」
「そんな態度じゃなかったろう。ホレ、貴重な時間を割いて付き合ってやってるんだ、さっさとはいちまえよ」
 これだから三郎はイヤなんだ。
 勢いに任せて雷蔵と付き合ってるって既成事実さえ作ってしまえば、色々丸く収まるのに。

「……」
「比菜子ちゃん、流石に僕も訳が判らないままそういう「付き合う」はできないよ」
「雷蔵もこう言ってるぞ」

 お前のせいだ。
 けど。

「…………はぁ」
 あたしは溜め息を吐いて、愛用のクッションに顔を埋めた。
 ホントは聞いてほしかったのかもしれない。
 三郎に見透かされたのは悔しいからそんなこと言わないけど。

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