管理サイトの更新履歴と思いつきネタや覚書の倉庫。一応サイト分けているのに更新履歴はひとまとめというざっくり感。
本棟:https://hazzywood.hanagasumi.net/
香月亭:https://shashanglouge.web.fc2.com/
〓 Admin 〓
主にヒロイン達の環境説明の自家中毒的なパート。
「おっさん……? いや、違うか」
「多分、ヘンゼルさんって人、かな」
理彩は携帯画面を見つめながらそう応じた。
登録されている名前はごく僅か。
その中で彼に当てはまりそうな名前はひとつしかない。おとぎ話を思い出させるような──
相手側の女性と目が合ったので笑いかけると、ピエトロが舌打ちした。
「なにニヘラってしてんだよ」
「秘技、愛想笑い?」
「秘技でもなんでもないだろそれ! ったく何なんだ、アイツ」
「レイチェルのパートナーさんよりそっくりな人がいるなんて驚いちゃった」
「おっさんがありふれた顔してるだけだろ」
不機嫌の理由は、相手の容姿によるもののようだ。
「「じゃあ、閉園時間になったら迎えを寄越すから、それまでごゆっくり~!」」
そして二人が小声で言い合っている間に、黒耳カチューシャの二人は勝手に姿を消していた。
「あっ!」
「ちっ! あの力さえ使えりゃ!」
ピエトロは忌々しげに顔を歪めた。
ここに連れてこられたときから、どういうわけか強化能力を一切使えなくなっていた。
ふざけたことを抜かすカチューシャを捕まえようとしたときにそれは発覚し、にやにや笑いのカチューシャは勝ち誇ったように制限事項を告げた。イベント参加中は一般人レベルの身体能力に引き下げられていること。更にこの場所は戦闘行為禁止区域であること。でなければ、最速の男がこう易々と遅れをとる筈はない。
「別に速すぎたわけでもなかったのにね」
「るせぇよ」
「もう、こうなったらとことん楽しむしかない感じ?」
「お前相変わらず変なとこで肝が据わってるな」
「だって向こうが何かやらかすつもりならとっくにしてるだろうし、何か仕掛けられたとしてもどのみち太刀打ちできないの明白だし?」
「……確かにな」
理彩が肩を竦めると、ピエトロは眉間に大袈裟なほどの皺を寄せて息を吐いた。
それから彼は、いつの間にか勝手に握らされていたチケットと携帯をぎょろりと睨みつける。
「Dか……どうせならワンダと来たかったな」
「こんなメガネザルで済みませんね」
「そこまで言ってないだろ!」
「今更言っても仕方ないし。その内ワンダを連れてく為の予習とでも思えば良いじゃない」
「そういう事にしといてやるか。はぐれんなよ。あんたに何かあったとしておっさんにどやされるのは俺なんだからな」
「それはこっちの台詞。初めてなんでしょ? あんまりきょろきょろしてると迷子になるからね」
「ガキ扱いするな!」
「ぷ、だっせ」
「ヘンゼル!」
二人の遣り取りを眺めていたもう一組だったが、男性の方が失笑し女性に足を踏まれて叱られた。
今度はそれを揶揄しようとするピエトロを、理彩が肘でつついて黙らせる。
「ごめんなさい、連れが失礼を」
「気にしないでください。えっと、崇光茅紗さん?」
「ですです。そちらは崇光理彩さんですよね? 近親者以外で同姓の人って初めてです」
「名前も似てますしね」
「お連れの方はピエトロさんで良いですか? マキシモフ姉弟の」
「知ってるんですか?」
「あれ? 理彩さんっててっきり私と同じ境遇だと思ってたんですけど」
「同じ境遇?」
「今みたいに、別の世界から飛ばされた。アヴェンジャーズの世界か、マキシモフ姉弟と一緒にまた違う世界、かな? 理彩さんの場合は」
「アヴェンジャーズの世界って……もしかして、あの世界もフィクションとして紹介されていた?」
「少なくとも私の世界では。「も」ってことは、アヴェンジャーズ知らなかったけど何か知ってる他の要素が?」
「PSO2っていうオンラインゲームのPCっぽい人が何度か」
「え?! まさかクリフォード?!」
「レイチェルっていうブレイバー/テクターのヒューマン。Ship1に所属してるって」
「私達がいたところってアークスシップのShip4なんだけど──多分、パラレルワールドだろうなぁ。如何にもPCって役回りなのはうちではクリフォードっていうガンナー/フォースのデューマンだから」
「じゃあ、彼は?」
「ヘンゼル&グレーテルっていうアクションホラー映画の主人公っぽい人・アヴェンジャーズのホークアイさんと同じ役者さんだから、似てるでしょ?」
「おなじ、役者……じゃあ、もしかしてレイチェルのパートナーも?」
「パートナー?」
「確かにあまり現実的じゃない名前だと思ったけど。LA市警のSWAT経験者で」
「!! ギャンブルちゃん?! ウソ、Ship1にギャンブルちゃんいるの?!」
理彩の説明を聞き終える前に、茅紗は目を輝かせて喰いついてきた。
その後頭部をヘンゼルが携帯でゴツンと押さえつける。
「それで、中に入るのか?」
「何だ、怖気づいたのか?」
「誰が」
「ならさっさと行こうぜ。女ってのは放っとくといつまでも話し続けるからな」
ピエトロは片手で理彩の口を塞ぎながら顎をしゃくった。
強制的に会話を中断させられた女性陣だが、本筋は彼らに理がある。
「後で聞かせて!」
茅紗はこそっと理彩に囁くと、抵抗はせず大人しく歩き出した。
「おっさん……? いや、違うか」
「多分、ヘンゼルさんって人、かな」
理彩は携帯画面を見つめながらそう応じた。
登録されている名前はごく僅か。
その中で彼に当てはまりそうな名前はひとつしかない。おとぎ話を思い出させるような──
相手側の女性と目が合ったので笑いかけると、ピエトロが舌打ちした。
「なにニヘラってしてんだよ」
「秘技、愛想笑い?」
「秘技でもなんでもないだろそれ! ったく何なんだ、アイツ」
「レイチェルのパートナーさんよりそっくりな人がいるなんて驚いちゃった」
「おっさんがありふれた顔してるだけだろ」
不機嫌の理由は、相手の容姿によるもののようだ。
「「じゃあ、閉園時間になったら迎えを寄越すから、それまでごゆっくり~!」」
そして二人が小声で言い合っている間に、黒耳カチューシャの二人は勝手に姿を消していた。
「あっ!」
「ちっ! あの力さえ使えりゃ!」
ピエトロは忌々しげに顔を歪めた。
ここに連れてこられたときから、どういうわけか強化能力を一切使えなくなっていた。
ふざけたことを抜かすカチューシャを捕まえようとしたときにそれは発覚し、にやにや笑いのカチューシャは勝ち誇ったように制限事項を告げた。イベント参加中は一般人レベルの身体能力に引き下げられていること。更にこの場所は戦闘行為禁止区域であること。でなければ、最速の男がこう易々と遅れをとる筈はない。
「別に速すぎたわけでもなかったのにね」
「るせぇよ」
「もう、こうなったらとことん楽しむしかない感じ?」
「お前相変わらず変なとこで肝が据わってるな」
「だって向こうが何かやらかすつもりならとっくにしてるだろうし、何か仕掛けられたとしてもどのみち太刀打ちできないの明白だし?」
「……確かにな」
理彩が肩を竦めると、ピエトロは眉間に大袈裟なほどの皺を寄せて息を吐いた。
それから彼は、いつの間にか勝手に握らされていたチケットと携帯をぎょろりと睨みつける。
「Dか……どうせならワンダと来たかったな」
「こんなメガネザルで済みませんね」
「そこまで言ってないだろ!」
「今更言っても仕方ないし。その内ワンダを連れてく為の予習とでも思えば良いじゃない」
「そういう事にしといてやるか。はぐれんなよ。あんたに何かあったとしておっさんにどやされるのは俺なんだからな」
「それはこっちの台詞。初めてなんでしょ? あんまりきょろきょろしてると迷子になるからね」
「ガキ扱いするな!」
「ぷ、だっせ」
「ヘンゼル!」
二人の遣り取りを眺めていたもう一組だったが、男性の方が失笑し女性に足を踏まれて叱られた。
今度はそれを揶揄しようとするピエトロを、理彩が肘でつついて黙らせる。
「ごめんなさい、連れが失礼を」
「気にしないでください。えっと、崇光茅紗さん?」
「ですです。そちらは崇光理彩さんですよね? 近親者以外で同姓の人って初めてです」
「名前も似てますしね」
「お連れの方はピエトロさんで良いですか? マキシモフ姉弟の」
「知ってるんですか?」
「あれ? 理彩さんっててっきり私と同じ境遇だと思ってたんですけど」
「同じ境遇?」
「今みたいに、別の世界から飛ばされた。アヴェンジャーズの世界か、マキシモフ姉弟と一緒にまた違う世界、かな? 理彩さんの場合は」
「アヴェンジャーズの世界って……もしかして、あの世界もフィクションとして紹介されていた?」
「少なくとも私の世界では。「も」ってことは、アヴェンジャーズ知らなかったけど何か知ってる他の要素が?」
「PSO2っていうオンラインゲームのPCっぽい人が何度か」
「え?! まさかクリフォード?!」
「レイチェルっていうブレイバー/テクターのヒューマン。Ship1に所属してるって」
「私達がいたところってアークスシップのShip4なんだけど──多分、パラレルワールドだろうなぁ。如何にもPCって役回りなのはうちではクリフォードっていうガンナー/フォースのデューマンだから」
「じゃあ、彼は?」
「ヘンゼル&グレーテルっていうアクションホラー映画の主人公っぽい人・アヴェンジャーズのホークアイさんと同じ役者さんだから、似てるでしょ?」
「おなじ、役者……じゃあ、もしかしてレイチェルのパートナーも?」
「パートナー?」
「確かにあまり現実的じゃない名前だと思ったけど。LA市警のSWAT経験者で」
「!! ギャンブルちゃん?! ウソ、Ship1にギャンブルちゃんいるの?!」
理彩の説明を聞き終える前に、茅紗は目を輝かせて喰いついてきた。
その後頭部をヘンゼルが携帯でゴツンと押さえつける。
「それで、中に入るのか?」
「何だ、怖気づいたのか?」
「誰が」
「ならさっさと行こうぜ。女ってのは放っとくといつまでも話し続けるからな」
ピエトロは片手で理彩の口を塞ぎながら顎をしゃくった。
強制的に会話を中断させられた女性陣だが、本筋は彼らに理がある。
「後で聞かせて!」
茅紗はこそっと理彩に囁くと、抵抗はせず大人しく歩き出した。
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