ファージェリアで発達している疑似科学の担い手。読み方は”リプロダクトマスター”
ファージェリアには「存在するあらゆる物質が創造者によって生産された物である」という考え方があり、これに基づき「既に在る物質の組成を編みなおす」術を研究するのが変成術師の役割。
あらゆる学問がこの変成術と結びついて発展しているため、優秀な術者の社会的地位は高い。
公的な変成術師は基本的に銀時計を持っている。時を刻む概念、金属の組成、文字、美術等多くの要素を併せ持つ事から、これを変成できなければ一人前とみなされないとも言う。
変成術師の多くは、使用頻度の高い術式を予めプレートに記録している。これらを組み合わせて変成を行うには独自の術具を用いる。術具には装着型(=身に纏って使うもの)、装備型(=杖など手に持って使うもの)、展開型(大掛かりな装置)等があり、その形状も術師によって様々。
変成術師としてのグレードは、その銀時計表層の装飾と、鎖によって現される。これらを不正にあつらえる事は詐称と同等の行為として厳重な処罰が下される。その意味では、時計本体よりもその周辺部に対する付加価値の方が遥かに高い。
なお、数年に一度選定される最高変成術師には特別に金時計が与えられ、その鎖には術師の通称とフルネームが刻まれる。
広瀬和音は諸事情がありファージェリアを訪れた折、変成術について学び、優良変成術師としての評価を獲得している。彼女の銀時計にはユニコーン、ケンタウロスに挟まれたキメラという絵図と変成の基本陣が掘り込まれており、各生物の瞳は異なる色の宝石。鎖そのものも精緻な装飾の施されているもので、順位でいえば一桁相当の評価。術具はグローブ(装着型)であり、薄いプレートを掌に何枚も重ねて式を構築する。手持ちのプレートで足りない分は直に加算式を書き込んで対応するが、その書き込みの早さも彼女の持ち味。また、一見このプレートはガラスか何かのようなのだが、激しい打撃などを繰り出しても割れないのが一番の不思議かもしれない。