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 まとまった長さの文章書けてません(*ノωノ)
 いろんなのちょっとずつじりじり進めてる感じなので取り敢えずストックを。

 密談とそれを目撃する人々。
 左門は不可抗力でいろいろ知っていそうなイメージ。三木ちゃんはこうして誤解を深めていくと……

 霧花(三郎に片想いしてた子)の話を考えてるお陰でやっと少し七緒の事件の落ち着かせ方が浮かんできました。

コメントお礼は続きを読むから

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 結局終末幻想よりこちらを早くあげることに……
 七緒の方の「事件の行方」の直後でもあります。事件の行方というか探し物の行方というか。
 まだしばらく飛鳥と三郎の絡みが続きます。

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 登場早々からジェイドにヘンテコ呼ばわりされているヒロインの譜術について、手元のメモも見当たらなくなってしまったので(泣)改めてまとめ直します。

・一応第七音素譜術師

・第一音素(闇)は普通に詠唱して平均的な威力

・第二音素(土)は詠唱なしで普通の威力、詠唱で威力や精度等を高めることもできる

・第三音素(風)は普通に詠唱が必要で、そこそこに高威力

・第四音素(水)は攻撃力が1未満でただ水浸しにするだけ。しかも通常より長い詠唱が必要

・第五音素(火)は普通に詠唱が必要で、威力は控えめ。

・第六音素(光)は詠唱破棄可能だが威力は弱い

・第七音素は独特の長い詠唱と集中力が必要。
※音素を外部から取り込むことなく体内の第七音素を費やしているため使用すると死ぬほどお腹がすく。自分に対するよりも他者に対する方が消費が激しく、喪われたエネルギーを補給するには自分への発動の時の数倍の飲食物を必要とする。

……第三、五、六の詠唱と威力の組み合わせは別だった気もするけど資料がないし、まだ出てきていないので取り敢えず今後はこれを念頭に使わせます。もともとオールドラントの存在ではないので音素の扱い方がちょっと変わってます。ジェイドが「ヘンテコ」呼ばわりするのはそのためです。

 プロローグで使ってたセイントバブルで森林破壊が起きなかったのはこの特性による効果です。
 ストーンブラストとかストーンウォールの使い方を見れば第二音素の自在さ加減は明らかだったかと思います。
 ネガティブゲートやブラッディハウリングは普通に詠唱してました。

 取り敢えずまた本編に何か出てきたり思い出したことがあったらこの記事編集して追記します(*ノωノ)

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 結局ひな達と一緒に食堂を出ることになった留三郎は、釈然としない表情で彼女達を見下ろした。

 それぞれの教室へ向かった五年生。彼等とのやり取りは気安く、たった一日で随分馴染んでいるのがまず一点。
 初っ端からバサラ技で諌められた留三郎には、ひなをちゃん付けする五年生の感性が理解できない。そしてそれをひなもひわも受け入れているのが、意外だ。

 留三郎だけが残ると、あからさまな程ではないが二人の纏う空気が固くなった。彼には間違ってもひなやひわの手を無理矢理引っつかむような真似はできそうにない。

「じゃあ、こっちだ」
 留三郎は指で方角を指し示し、二人へ移動を促した。

 二人は黙々とついてくる。時折ひわが首を巡らすのは、敷地内の位置関係を確かめているからだろう。ひなはその横を真っ直ぐ歩いている。
 後ろに気を取られていると足元が疎かになるので、常に伺うわけにも行かないが、ひなが罠──落とし穴等に踏み込もうとすると、ひわが袖を引いてそれを止める。ひわ自身が罠を発動させることもない。

 留三郎がひわのバサラ技を見たことはないが、純粋に立ち居振る舞いを見ると、彼女はバサラ者というよりくのいちと言われた方が近い。だからだろうか、彼女の警戒を認識しやすいのは。一方ひなは、本当に何を考えているのか計り知れなくて苦手だった。

「あー、そういえば、二人とも昨日はあの長屋できちんと眠れたのか?」
 留三郎は気まずさを押しのけるように尋ねる。
 五年生とあれだけ打ち解けていたからには問題はないのだろうが。

「……まあ、布団なしで眠るのにも慣れていますから」
「は?」
 まさかのひなからの回答に、留三郎は足を止めて振り返った。
 ひわは遅れることなく足を止め、ひなもそれに倣って立ち止まる。
 二人とも、昨日と同じ表情に乏しい顔つきで、冗談を言っているようには見えない。

「なんで布団がないんだ?」
「普通、それを聞きたいのはこちらの方だと思いますが」
「あ、いやそれもそうだ。久々知も備品がそろってない部屋だと言っていたな。けど布団ぐらいあった筈だが……」
 留三郎は眉を顰めた。
 しまいっぱなしの布団が使用に耐えうる状況化はともかくとして、各部屋には二組ずつ布団が備わっている筈だった。わざわざ使っていない部屋の布団を持ち出す訳が分からない。

「今ここでそれを言っても仕方がないことでしょう。それより──」
 実にもっともな指摘を入れたひなが、言いかけた言葉を止めて口をつぐんだ。

 どどどどどどどど

 文字に起こすとすればそうとしか表現できない物音が、こちらに向かって急接近したためだ。
「うげっ!」
 留三郎は頬を引き攣らせて迫りくる土埃を見る。それからひなとひわに視線を移し──賞賛すべき判断力で校舎の壁沿いに退避していたので、再び土埃の主に視線を戻した。

「留三郎おぅぉぅぉぅ~!」
 ご丁寧に彼の名を叫びながら猛スピードでやってくる、小平太。ややこしいことになりそうだと留三郎は頭を押さえる。

「なあ留三郎聞いたかっ?!」
 きゅきぃぃぃぃっとその目の前で急ブレーキをかけた小平太は、満面の笑みで勝手にしゃべり始めた。

「五のいの竹谷八左ヱ門が学園に女連れ込んでいきなりプロポーズしたんだと!」
「はあ?!」
「なんかこう、いきなりがしっと手をひっつかんで、「さっさと俺の気持ち受け取れよ」ってやったらしいぜ」
 言いながら、小平太は実際に留三郎の手を握って見せる。力加減されないせいで、骨がみしっと音を立てた。
 留三郎は力いっぱいに小平太の手を振り払う。

「余計な身振りはいらんっ! 痛いだろうが手を離せっ!」
「大袈裟なやつだなっ」
「それはこっちの台詞だっだいたい、どっからそんな話仕入れてきたんだっ?!」
 痛む手にふうふう息を吹きかけながら、ふり払われた手に不満げな小平太に突っ込むと、
「そこらで塹壕掘ってたら、二年坊が興奮して話してるのが聞こえたんだ」
「そうか、また無駄に俺たちの仕事を増やしたな?」
「何言ってる、塹壕は野戦の実習の基本だろ!」
「なんだと?!」

「──食満殿」
つかみ合いに発展しそうなところで、静かなひなの声が飛んだ。
 留三郎はぎくりと肩を強張らせる。
 小平太はそれでようやく、留三郎の近くに二人がいることに気付いた。

「そーいや留三郎、こんなところで何やってるんだ? どしたの? この子達」
「……保健室で説明受けただろうが! 三、四年の訓練中に落下してきた二人組だ! 俺ぁ案内頼まれたんだよ!」
 ぽへ、と気の抜けた顔で首をかしげる小平太に、留三郎の米神に血管が浮き上がった。
 小平太はさらに首を捻り、間をおいてからぽん、と手を叩いた。

「おー。そういや元気になったんだってな!」
 にかっと笑い、ふるふる震える留三郎は横に置いて、
「俺は六年ろ組七松小平太! 花形の体育委員会委員長だ、よろしくな!」
ろくろ……?」
「そう略す時もあるな! なあ、伊作から聞いてるけど、改めて名前聞いてもいいか?」
勝手に自己紹介タイムに入る。勢いに引いたのか、ひわはひなの袖をギュッと握り、呆然とした顔で小平太を見ている。訳もなくどうでもよさげな所属クラスだけを繰り返すあたり、混乱していると留三郎は思った。

「ひなです。こちらはひわ」
 半歩だけ前に出たひなが、二人分まとめて応えた。
 珍しく彼女の目にも困惑の色が浮かんでいる。
「あの、七松君」
「ん? こへーたでいいって。二人とも講師やるんだろ?」
「じゃあ、小平太君」

──んん~?!
 留三郎は目を剥いた。
 留三郎は未だに「食満殿」なのに、小平太は初めから「七松君」で、あっさりと「小平太君」と呼び換えられた。 頑なな言葉遣いも、心なしか留三郎に対するよりもやわらかいような気がする。
 ひなは呼び掛けておいてから、少し迷うようにひわを見た。
 ひわの首が、かすかに上下に動かされる。

「……ご実家は、信濃の海野家と何か御関係が?」
「んー? あーまあ、あるっちゃあるのかな。遠縁過ぎて就職口にもならんので俺は忍者を目指すことにしたんだけどな」
 小平太は眉を寄せて少し考えてから、結局あっけらかんと言った。
「でもなんで?」
「前に自慢げにそう言っていた知人とよく似ていたので、血筋かと」
「へえ、二人とも顔が広いんだなっ」
「旅を──していたから」
 ひなから話を引き継いだひわはそう応え、ふっとわずかに苦笑の形に口元を緩める。
 初めて二人と話す小平太は、何の引っ掛かりも感じずに、
「女の子二人で旅ってスゲーよな! やっぱ腕に覚えありって奴か?」
「さあ? 逃げ足が速いだけかもしれないでしょ」
「そいつぁいいや!」
あっはっはと楽しそうに笑った。

「あー、そろそろ良いか?」
 和やかな会話の中を割って入るのも勇気が要ったが、留三郎は恐る恐る口を挟んだ。
 ぐずぐずしていては、あっという間に昼になってしまう。吉野先生から頼まれていたのは、「朝食後に」二人を連れて来いということだったのに。だが、
「何だ留三郎、混じりたいならそういえよ」
からかうような小平太。
「何の話だ! 案内中だと言ったのをもう忘れたのか鳥頭」
「はい、そこまで」
 言い争いを始めそうな二人の間に、黒っぽい何かが差し入れられた。
 一見すると、漆塗りの檜扇。けれどその素材は上質の黒鉄で、透かし等雅な装飾でありながら立派な凶器である。

「──小平太、取り敢えず用事があるから、また後で時間が合ったら話そう。
 食満、敢えて喧嘩腰になる意味がわからないんだけど?」
 ひわに言われて、留三郎と小平太は扇越しに顔を見合わせた。
 留三郎に絡んでいただけの小平太はあっさり引き下がり、
「じゃあ、後でなっ」
「あ、おう」
気を削がれた留三郎も肩の力を抜く。
 二人の距離が離れたのを見て、ひわは扇を引っ込めた。

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「我が──誓約の、下に……めい、めい、命、じる?」
「だから何でそこで疑問形なんだ」
「言うなよ、分かってる。けど何か言いづらくてさ」

 サイジェント南スラム、旧孤児院の庭の片隅。二人の少年はそれぞれに肩を落とした。
 フード付きのジャケットを着た茶髪の少年は勇人、ギザギザ模様のマントを羽織った黒髪の少年はキール。二人の周りには、どことなく二人のどちらかと共通する雰囲気の少年少女が合わせて六名、思い思いの姿勢で座り込んでいる。

「気持ちは解りますけど……噛みすぎですよ」
 おっとり口調で、きっぱりダメ出しするのは綾。そのとなりでフワフワと揺れるお化けの子供のような生き物が、きゅ、と帽子の鍔を押さえなおす。更に向こうから、
「定型文を暗誦すれば良いだけだろう、変にこだわるから失敗するんじゃないか」
「そっかなー? 別に言い方なんて気にしすぎじゃない? 伝わればいーんでしょ、伝われば」
まるで反対の事を言う、籐矢と夏美。二人の前では、緑色の丸っこい物体とカプセルにアームを付けたような丸っこいロボットが、コロコロふよふよ揺れている。

「なっちゃんのは召喚術習ってる人への冒涜だと思いまーす」
 手を挙げて、カシス。
「基礎を覚える以上、先ずはトウヤさんの言う通り、詠誦する呪文を暗誦することから始めては?」
「だな」
 滔々と述べるクラレットに頷くソル。
 口を挟む外野に、キールは多少苛立たしげな視線をくれる。

「君達は今日の練習がすんだんだろう、邪魔をするならどこかへ行ってくれ」
「詠誦、暗誦……呼びかけ……えーと……あ」
 勇人はキールが身を乗り出したせいで転げ落ちた透明な召喚石に気付き、手を伸ばし──

 ぶわっと魔力が膨れ上がった。

「馬鹿! 早まるな!」
 キールは酷く慌てて勇人の肩を掴んだ。

「待って! 今止めちゃまずいよ!」
「皆さん下がって!」
「キール、抑えろ!」
「ハヤト!」

「……古き盟約とか、命じるとか、そんなのは取り敢えずいいっ! ここに、来てくれ! 頼む!」 

 勇人は強く願った。魔力の渦に翻弄される人影に手を差し延べるように、意識を凝らした。

「──くっ!」

 やがて、渦巻く魔力は勇人のそれと混じり合い、彼の意志に添って一つの方向へ集約する。則ち──

 ドサッ

 投げ出されたのは、勇人の意識に浮かんできた通りの人影。全身が煤け、衣服のあちこちが焦げたり破けたりした若い──とは言え、勇人達よりは年上だろうと思われる女性。

「……どう、いうことだ?」
 かすれた声で誰かが呟く。

「そんな……」
「召喚事故……!」
 カシスとクラレットが青ざめた顔で。

「事故ぉ?!」
「無色の石から人が召喚されることはないっ! あるとすればそれは召喚事故だ!」
 素っ頓狂な声を上げる夏美に、噛み付くように応じたのはソルだ。事を起こした勇人とその教師役のキールは、ピシリと固まったように女性を見下ろしている。

「ハヤト君?」
 綾が気遣うように呼び掛ける。勇人はギクシャクと女性の前で膝を付き、
「あのー、もしもし? 生きてますか?」
「ハヤト!」
籐矢は咎めたが、勇人は大まじめだった。
 女性の肩を叩いて呼び掛け、鼻と口の前に手を翳して呼気を確かめる──意識不明者に遭遇したときの一般的な対処法だ。

「……」
 女性はぐったりとして横たわっている。その瞼の間から、涙が一筋伝い落ちた。

「大丈夫ですか? えーと、千尋さん」
 勇人は石から読み取れた名で呼びかける。
 すると、女性はパッチリと眼を開けた。

「アビィ!」

「うわあっ!」
 勢いよく起き上がった彼女と激突しそうになって、勇人は慌ててのけ反った。
 彼女は勇人には構わず、周りを忙しなく見まわす。焦燥し焦ったような彼女の様子を、周囲の仲間達は固唾を飲んで見守った。

 彼女は自分を取り囲んでいるのが少年少女達ばかりであることを見、それぞれの服装や、お供に連れている召喚獣達を目にし、孤児院の崩れかけた壁や緑の茂る庭、薄曇りの空を三度程見直してから最後に勇人に視線を移した。

「……あなたが、止めてくれたの」
「え?」
「私をリィンバウムに留めてくれた、召喚主。でしょ?」
「留めてくれた? って、ええっ?!」

「ちょっと待ってください」

 焦る勇人の後ろから声をかけたのは籐矢だった。

「召喚術っていうのはリィンバウムを取り巻く異世界から召喚獣を招きよせる術じゃなかったのか?」
「だから召喚事故だと言ってる! 何が起きるのかわからないんだ、リィンバウムの中から誰かを呼び寄せるだけで済んだならいっそまだましな方だ」
 言い返すソル。彼の兄妹達も硬い表情で首を縦に振る。

「成程。確かに陸続きなら元の場所に帰すこともできるな」
「じゃあ、服がボロボロだったり焦げっぽい感じなのも事故のせい?」
「それは」
「っ!」
 夏美が首を傾げると、女性は緩めかけた表情を一変させて周囲を見回した。

「あの子達は!」

「あの子達?」

「トリス、マグナ……! 双子の赤ちゃんはっ」
「赤ちゃん?! い、いや、俺が見た時には千尋さんの姿しかなかった、筈!」

「あぁっ!」

 勇人の答えを聞いた時の彼女の絶望の表情は、筆舌に尽くし難いものがあった。
 空の両手を凝視し、それから髪を振り乱し全身を掻き抱き、彼女は言葉にならない悲しみの声をあげて涙を零した。

 暫く、誰も彼女に話しかけられなかった。
 特に勇人は、強い自責の念に駆られて身動きすらできずに立ち尽くした。

 自分の起こした召喚事故が、彼女をここまで絶望させた──儀式跡地で目覚めた時の記憶が、勇人の頭を過る。訳の分からないところに突然放り出されパニックを起こし、けれど同じ境遇の仲間が他に三人もいたから、どうにか足を踏み出すことができた。けれど彼女は一人で、抱いていた子供を一度に二人も喪った。
 勇人には、彼女を襲った絶望の深さを想像することもできない。

 彼女の人生を大きく狂わせてしまった。

 彼らは改めて、召喚術という力の危うさを思い知らされた。

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