管理サイトの更新履歴と思いつきネタや覚書の倉庫。一応サイト分けているのに更新履歴はひとまとめというざっくり感。
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具体的にアトラクションを回るところを想像したらあまり面白くならなそうなのでやめた、異常に冷静なヒロイン達
*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*
転送ゲートを抜けた先は、見慣れたショップエリアではなく、カジノエリアにも似た雰囲気のある遊興施設を見下ろすホールだった。
薄暗く、左右背後の壁の位置は不明。だだっ広い空間とだけわかる。
レイチェルとブライアンは顔を見合わせ、同時に装備の確認に手を動かす──
「冗談だろ?」
呟いたのはブライアン。レイチェルも眉を顰め、装備パレットやサブパレットを急ぎ見直していく。
「……戦闘禁止区域のようです。装備が解除され、テクニックやスキルの使用も制限されています。アイテムパックそのものは参照できますが、出し入れはできない。ともすればチャレンジミッションの時の誓約とも似ていますが……」
「おかしいのはそこだけじゃない。どこだよここ」
ブライアンは眼下の遊興施設を複雑な顔で見下ろした。
「おっめでとうございまーす!!」
「「──?!」」
「あわわわ、戦闘行為は禁止ですよー? ワタクシ一介のガイドですからね? 攻撃しても後味悪いだけですからねっ」
「おめでとう、とはどういうことですか?」
「アークスさんは冷静ですね☆Dリゾート二泊三日の旅に当選したってのに」
「Dリゾート二泊三日?」
「はい、ご当選おめでとうございます♪」
「人違いだろ」
「いえいえ」
「応募した覚えはない」
「特定の状況下にある方々を対象にした自動抽選ですから☆
あ、ちなみに宿泊費お食事代弊社負担、連絡用端末貸し出しの至れり尽くせりですので」
「胡散臭ぇ」
「その代り、器物損壊・面倒事防止のために装備や攻撃スキルに制限を掛けさせていただいてマス」
「拒否権は?」
「ゴザイマセン」
「は?! 違法だろ?!」
「その分含めての至れり尽くせりですから。帰還の際は出発時点または経過通り、はたまたその中間の任意点、お好みの時間軸にお戻りいただけまっす」
「……Dリゾート?」
「D社の作ったキャラクターもののアミューズメントパークだろ。つまり──地球?」
「解説有難うございます!! 世界線としましては、お二方の滞在したことのある地球とはまた別ですけど、まぁ関係ありませんよね☆」
「違うってのはわかるぜ。俺が知ってるD社のパークとは見た目から別物だからな」
「それは国の違いですよぅ。お客様方の過去の滞在地は主にUSA、今回のリゾートはJAPANの物ですから」
「JAPAN? あー、他の国にもいくつかあるんだったか。それか」
「ご納得いただけたところで、連絡用端末支給しますね~」
ぽんっと出てきた携帯には、見知らぬ名前が登録されている。
「……これは?」
「おっと失礼! もう一組のゲストの方々ですよっ」
自称ガイドが言うや否や、二人の近くに三人の姿が現れた。
このホールに来てから、レイチェルはなんとなく感じ取っていた気配の主達のようだ。一人はガイドを自称する青年(年齢性別不詳の容姿、出で立ちをしていたが、レイチェルは青年と判断した。勿論なんとなく)と同じような格好。とすると、残る二人がテストと言うことになるのだろう。
一見は青年と少年。少年と見える方は履いているブーツの影響もあるだろうが、ブライアンと変わらないくらいの背丈で中性的な容姿の女性。青年はそれよりやや背が高く、がっしりとした体格の美丈夫だった。
「……初めまして。栂瀬梓です。こちらはベルクート。故郷の風習により、彼には姓はありません」
中性的な女性はレイチェルと目が合うと、ごく冷静にそう言って会釈してきた。
「レイチェル・ラドクリフです。どうかレイチェルと。こちらはB.ギャンブル」
応じるレイチェルもごく淡々と自己紹介を始めたので、ガイド達に加えてブライアンまで大爆笑してしまった。
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転送ゲートを抜けた先は、見慣れたショップエリアではなく、カジノエリアにも似た雰囲気のある遊興施設を見下ろすホールだった。
薄暗く、左右背後の壁の位置は不明。だだっ広い空間とだけわかる。
レイチェルとブライアンは顔を見合わせ、同時に装備の確認に手を動かす──
「冗談だろ?」
呟いたのはブライアン。レイチェルも眉を顰め、装備パレットやサブパレットを急ぎ見直していく。
「……戦闘禁止区域のようです。装備が解除され、テクニックやスキルの使用も制限されています。アイテムパックそのものは参照できますが、出し入れはできない。ともすればチャレンジミッションの時の誓約とも似ていますが……」
「おかしいのはそこだけじゃない。どこだよここ」
ブライアンは眼下の遊興施設を複雑な顔で見下ろした。
「おっめでとうございまーす!!」
「「──?!」」
「あわわわ、戦闘行為は禁止ですよー? ワタクシ一介のガイドですからね? 攻撃しても後味悪いだけですからねっ」
「おめでとう、とはどういうことですか?」
「アークスさんは冷静ですね☆Dリゾート二泊三日の旅に当選したってのに」
「Dリゾート二泊三日?」
「はい、ご当選おめでとうございます♪」
「人違いだろ」
「いえいえ」
「応募した覚えはない」
「特定の状況下にある方々を対象にした自動抽選ですから☆
あ、ちなみに宿泊費お食事代弊社負担、連絡用端末貸し出しの至れり尽くせりですので」
「胡散臭ぇ」
「その代り、器物損壊・面倒事防止のために装備や攻撃スキルに制限を掛けさせていただいてマス」
「拒否権は?」
「ゴザイマセン」
「は?! 違法だろ?!」
「その分含めての至れり尽くせりですから。帰還の際は出発時点または経過通り、はたまたその中間の任意点、お好みの時間軸にお戻りいただけまっす」
「……Dリゾート?」
「D社の作ったキャラクターもののアミューズメントパークだろ。つまり──地球?」
「解説有難うございます!! 世界線としましては、お二方の滞在したことのある地球とはまた別ですけど、まぁ関係ありませんよね☆」
「違うってのはわかるぜ。俺が知ってるD社のパークとは見た目から別物だからな」
「それは国の違いですよぅ。お客様方の過去の滞在地は主にUSA、今回のリゾートはJAPANの物ですから」
「JAPAN? あー、他の国にもいくつかあるんだったか。それか」
「ご納得いただけたところで、連絡用端末支給しますね~」
ぽんっと出てきた携帯には、見知らぬ名前が登録されている。
「……これは?」
「おっと失礼! もう一組のゲストの方々ですよっ」
自称ガイドが言うや否や、二人の近くに三人の姿が現れた。
このホールに来てから、レイチェルはなんとなく感じ取っていた気配の主達のようだ。一人はガイドを自称する青年(年齢性別不詳の容姿、出で立ちをしていたが、レイチェルは青年と判断した。勿論なんとなく)と同じような格好。とすると、残る二人がテストと言うことになるのだろう。
一見は青年と少年。少年と見える方は履いているブーツの影響もあるだろうが、ブライアンと変わらないくらいの背丈で中性的な容姿の女性。青年はそれよりやや背が高く、がっしりとした体格の美丈夫だった。
「……初めまして。栂瀬梓です。こちらはベルクート。故郷の風習により、彼には姓はありません」
中性的な女性はレイチェルと目が合うと、ごく冷静にそう言って会釈してきた。
「レイチェル・ラドクリフです。どうかレイチェルと。こちらはB.ギャンブル」
応じるレイチェルもごく淡々と自己紹介を始めたので、ガイド達に加えてブライアンまで大爆笑してしまった。
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「ウェルカム! ようこそ夢の世界へハッピーハロウィーン!!」
突然茅紗の目の前に現れたのは、どこか見覚えのある丸耳カチューシャをつけた、性別不詳の人物だった。
「お客さん達運がイイネ☆ 二泊三日のスペシャルイベントに大当選しちゃうんだからさ!
費用は当社負担、お客さんはたっぷり楽しんで旅の終わりに簡単なアンケートに答えてくれればそれでOK!
すっごくお得デショ?
あ、でもでも各アトラクションの優待とかは入ってないから人気の奴は自力で並んでナ☆」
勝手に捲し立てられ、困惑して辺りを見回す。
茅紗の周囲は何もなく薄暗いがらんどうの空間。茅紗とカチューシャの他にいるのは、警戒の表情で相手を伺うヘンゼルばかり。カチューシャがぱちんと指を鳴らすと、二人の正面──つまりカチューシャの背後に、茅紗にとっては見覚えのある建造物や風景が浮かび上がってきた。
彼女がそれを見るのはいつ以来だろうか──そもそも、異世界に来てしまった以上再びお目に掛かる日が来るとは思っていなかった。
懐かしさが茅紗の心を揺さぶる。それはヘンゼルにも伝わったようで、カチューシャを不審げに睨みながらも彼は茅紗を気にしている。
ヘンゼルは無言で茅紗の腕を掴んだ。
「え? 帰る気? ダメダメ。帰さないヨ。だいたい何処から帰るつもり? ほら、出入り口なんて後ろのどこにも見当たらないデショ?」
カチューシャの言うとおり、どこにも出口らしいものは見当たらない。
ヘンゼルは横目にそれを確かめるとチッと舌打ちして眉間に皺を寄せた。
カチューシャはヘンゼルの殺気など気にした様子もなく、
「連絡用のケータイはっと……」
パチンっと再び指を鳴らすと、茅紗達の目の前にそれぞれ二つ折りタイプの携帯電話が降ってわいた。
反射的に掴み取り、茅紗はその画面を開いてみる。二つ折りだが、ガラケーにしてはやたらと鮮明で繊細な描画表示。ホーム画面からOSは特定できず、MicroSDのロゴはあるがカードスロットが何処にあるのか、充電プラグの差込口なども見当たらないのが茅紗の知っている携帯電話と違っているところだ。
「操作方法はカノジョの方が良くわかってるカナ?
写メったデータカードは最終日にちゃんと進呈するから、沢山撮って思い出残してネ~」
携帯にはインカメラもアウトカメラも備わっていた。
茅紗は勘でアドレス帳を開く──登録番号は3件のみ。一つはヘンゼル、それから知らない女性の名前と、彼女には偽名としか思えない──
「あ、そうそう! もう一組の当選者にも紹介しなきゃだネ!」
そこでカチューシャは手を叩いた。
するとカチューシャがもう一人──最初のカチューシャの隣に出現する。こちらも性別不詳。体格も先のカチューシャと大差ない。更に茅紗達のすぐ傍にも微妙な表情をした男女が姿を現した。
何処からかやってきたというよりは、それまでもそこに存在した者が覆いを除かれて認識できるようになったというのが正しいだろうか。相手の側からすれば、茅紗の方が突然に現れたように見えたことだろう。
そして茅紗は、携帯に登録された名前が偽名ではないことを理解した。
「「じゃあ、閉園時間になったら迎えを寄越すから、それまでごゆっくり~!」」
茅紗が目の合った女性とへらり、愛想笑いを交わし合っている間に、カチューシャ二人はにこやかに手を振って姿を消していた。
代わりに、四人の目の前にはテーマパークへと通じるゲート。
各々の手には携帯電話と、人気キャラクターがプリントされたパスポートチケットが残されていた。
突然茅紗の目の前に現れたのは、どこか見覚えのある丸耳カチューシャをつけた、性別不詳の人物だった。
「お客さん達運がイイネ☆ 二泊三日のスペシャルイベントに大当選しちゃうんだからさ!
費用は当社負担、お客さんはたっぷり楽しんで旅の終わりに簡単なアンケートに答えてくれればそれでOK!
すっごくお得デショ?
あ、でもでも各アトラクションの優待とかは入ってないから人気の奴は自力で並んでナ☆」
勝手に捲し立てられ、困惑して辺りを見回す。
茅紗の周囲は何もなく薄暗いがらんどうの空間。茅紗とカチューシャの他にいるのは、警戒の表情で相手を伺うヘンゼルばかり。カチューシャがぱちんと指を鳴らすと、二人の正面──つまりカチューシャの背後に、茅紗にとっては見覚えのある建造物や風景が浮かび上がってきた。
彼女がそれを見るのはいつ以来だろうか──そもそも、異世界に来てしまった以上再びお目に掛かる日が来るとは思っていなかった。
懐かしさが茅紗の心を揺さぶる。それはヘンゼルにも伝わったようで、カチューシャを不審げに睨みながらも彼は茅紗を気にしている。
ヘンゼルは無言で茅紗の腕を掴んだ。
「え? 帰る気? ダメダメ。帰さないヨ。だいたい何処から帰るつもり? ほら、出入り口なんて後ろのどこにも見当たらないデショ?」
カチューシャの言うとおり、どこにも出口らしいものは見当たらない。
ヘンゼルは横目にそれを確かめるとチッと舌打ちして眉間に皺を寄せた。
カチューシャはヘンゼルの殺気など気にした様子もなく、
「連絡用のケータイはっと……」
パチンっと再び指を鳴らすと、茅紗達の目の前にそれぞれ二つ折りタイプの携帯電話が降ってわいた。
反射的に掴み取り、茅紗はその画面を開いてみる。二つ折りだが、ガラケーにしてはやたらと鮮明で繊細な描画表示。ホーム画面からOSは特定できず、MicroSDのロゴはあるがカードスロットが何処にあるのか、充電プラグの差込口なども見当たらないのが茅紗の知っている携帯電話と違っているところだ。
「操作方法はカノジョの方が良くわかってるカナ?
写メったデータカードは最終日にちゃんと進呈するから、沢山撮って思い出残してネ~」
携帯にはインカメラもアウトカメラも備わっていた。
茅紗は勘でアドレス帳を開く──登録番号は3件のみ。一つはヘンゼル、それから知らない女性の名前と、彼女には偽名としか思えない──
「あ、そうそう! もう一組の当選者にも紹介しなきゃだネ!」
そこでカチューシャは手を叩いた。
するとカチューシャがもう一人──最初のカチューシャの隣に出現する。こちらも性別不詳。体格も先のカチューシャと大差ない。更に茅紗達のすぐ傍にも微妙な表情をした男女が姿を現した。
何処からかやってきたというよりは、それまでもそこに存在した者が覆いを除かれて認識できるようになったというのが正しいだろうか。相手の側からすれば、茅紗の方が突然に現れたように見えたことだろう。
そして茅紗は、携帯に登録された名前が偽名ではないことを理解した。
「「じゃあ、閉園時間になったら迎えを寄越すから、それまでごゆっくり~!」」
茅紗が目の合った女性とへらり、愛想笑いを交わし合っている間に、カチューシャ二人はにこやかに手を振って姿を消していた。
代わりに、四人の目の前にはテーマパークへと通じるゲート。
各々の手には携帯電話と、人気キャラクターがプリントされたパスポートチケットが残されていた。
「うわっちょっとマジ?!」
「は?!」
その声はほぼ同時に上がった。
発言者達はそれぞれ目の前の画面を凝視して顔を引き攣らせている。
「なん……で、あんな企画が通るわけ?!」
「こっちがききてぇ……まあ、ヒトサン達ん所が最近頑張ってるからなぁ」
「うちらもそれなりに仕事しろって? こっちは楽な観察任務だと思ってたのに」
「まぁったく怠いよなぁ」
「テーマパークなんてむしろ自分行きたくて出してみただけだったのに」
「じゃ、現地行く?」
「冗談。モニタされながら何楽しめっての」
「だーよなぁ」
「さ、選ぼ、えらぼ。憐れなぁ仔羊ちゃん、誰かなぁ?」
「何だそりゃ?」
「いや、時期的に雰囲気で?」
「あはははは。さ。選ぼ、えらぼ」
「して、どうやって選ぶん?」
「そうだなぁ……じゃ、これで」
これ、と言いながらダーツを投げるジェスチャー。
「よぅし。白羽の矢、立てちゃうゾ!」
「ヤケクソだな」
「無理やりテンション上げないとやってられないっての!」
「は?!」
その声はほぼ同時に上がった。
発言者達はそれぞれ目の前の画面を凝視して顔を引き攣らせている。
「なん……で、あんな企画が通るわけ?!」
「こっちがききてぇ……まあ、ヒトサン達ん所が最近頑張ってるからなぁ」
「うちらもそれなりに仕事しろって? こっちは楽な観察任務だと思ってたのに」
「まぁったく怠いよなぁ」
「テーマパークなんてむしろ自分行きたくて出してみただけだったのに」
「じゃ、現地行く?」
「冗談。モニタされながら何楽しめっての」
「だーよなぁ」
「さ、選ぼ、えらぼ。憐れなぁ仔羊ちゃん、誰かなぁ?」
「何だそりゃ?」
「いや、時期的に雰囲気で?」
「あはははは。さ。選ぼ、えらぼ」
「して、どうやって選ぶん?」
「そうだなぁ……じゃ、これで」
これ、と言いながらダーツを投げるジェスチャー。
「よぅし。白羽の矢、立てちゃうゾ!」
「ヤケクソだな」
「無理やりテンション上げないとやってられないっての!」
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